越谷市マンション連合会
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高耐久化の時代に、修繕周期を問い直す

改修サイクルを延ばし、足場を伴う工事の回数を減らす。長期の修繕費を抑えるための問い。

足場と養生を設けたマンションの生成イメージ
マンションの修繕工事のイメージ(AI生成)

高耐久化できる技術があるのに、計画は従来のままでよいのか

高耐久化できる材料や技術があるのに、修繕計画だけが従来の周期を繰り返していてよいのでしょうか。「12年だから」という説明で検討を終えるのではなく、仕様と診断に基づいて改修サイクルを延ばせないかを、管理組合から問いかけたいところです。

目指すのは、必要な補修の先送りではありません。高耐久仕様と途中の点検・補修を組み合わせ、足場を伴う大きな工事の回数を減らし、長期の修繕費を抑えることです。材料が変わっても計画が変わらないなら、その理由を説明してもらう。工事回数を減らせる条件と、そのために必要な管理を具体的に比較します。

周期の延伸を、費用の見直しにつなげる

足場を伴う工事回数を減らすことは、長期の支出を抑える重要な検討要素です。ただし、積立金をいくら下げられるかは、実際の工事範囲、診断・中間補修、物価変動などを含む長期の総費用計算で確かめます。

日常の確認・詳細診断・計画の見直しを重ねる

ふだん

状態の変化をつかむ

日常・定期点検や不具合の記録を続け、異変があれば対応を検討する。

節目

詳しく調べる

10年程度を一つの節目として、必要な調査・診断の範囲を考える。

計画

見直しを重ねる

5年程度ごとの見直しを意識し、調査結果と積立金の計画を反映する。

ここでの「10年程度」は、詳細診断を考えるための節目の提案で、全建物に共通する法定周期ではありません。ガイドラインには点検・調査・診断を10~12年、計画見直しを5年とする例示もあります。10年まで点検しない、診断後は次の10年まで見ない、という意味ではありません。

法定点検や定期報告の適用がある場合は、別途その対象・周期に従います。外壁タイル等の全面打診等についても、適用建築物と対象範囲を確かめる必要があります。外壁タイルの点検について →

高耐久材料は、足場も含めた総費用で比べる

高耐久仕様で工事回数を減らせるなら、材料だけでなく足場・養生・施工労務・工事中の暮らしへの負担も減らせる可能性があります。ただし、塗膜の寿命だけで建物全体の修繕周期を決めることはできません。シーリング、防水、タイル、躯体、金物などとの組合せを見ます。

同じ期間・同じ工事範囲で比べる

初期の材料費+施工・仮設費+途中の点検・補修費+次の更新費。何を比較に含めたかをそろえ、費用だけでなく住民の負担も確認します。ここでは試算値や削減率は示していません。

材料の「期待耐用年数」は保証年数とは限りません。日射・雨・湿度・塩分などの環境、下地や施工条件にも左右されます。内陸であることだけを理由に、一律に長持ちすると判断しないことが大切です。

足場の単価例と、建築補修全体の物価を分けて見る

大きな工事の回数を検討するとき、足場の単価と、工事費全体の上昇傾向はどちらも重要です。ただし、下の二つは対象と単位の異なる資料です。同じ上昇率として扱わず、実際の見積条件をそろえるための材料として読みます。

東京都の公共工事用設計単価の一例

同じ掲載規格の足場単価を比較

2,000円/架㎡
2,170円/架㎡

同一掲載規格で +8.5%(170円/架㎡)

手すり先行外部くさび緊結型足場/建地幅900/高さ12m未満/3か月以上6か月未満。原表は「材工共」と表記しています。

これはマンションの契約単価や埼玉県の市場平均ではありません。単位の「架㎡」は床面積・外壁面積へそのまま読み替えられません。高さ12m未満の例を、10階建てなど別条件の建物に直接当てはめることもできません。掛払い・賃料・メッシュ・運搬・税の詳細な包含範囲は、この掲載行からは未確認です。

工事費全体の物価変動の背景

国土交通省「建築補修」の工事費デフレーター

2020年度の100.0から、2025年度は123.0(暫定)へ。23.0%の上昇です。これは建築補修全体の指数であり、足場単価の上昇率や、将来価格の予測ではありません。

年度別の建築補修工事費デフレーター。数値は直下の表でも確認できます。
2026年06月30日公表の年度系列。基準:2020年度平均=100。月次系列は混在させていません。
グラフの数値を見る
建築補修・年度平均指数
年度指数区分
201593.0確定
201693.1確定
201794.9確定
201897.6確定
2019100.0確定
2020100.0確定
2021104.1確定
2022111.3確定
2023114.9暫定
2024119.9暫定
2025123.0暫定
国土交通省の建設工事費デフレーター公表ページを確認↗

単価が上がる環境だからこそ、工事の回数を減らせる条件を検討する意味があります。ただし、今必要な補修を遅らせる費用・リスクや、途中の点検・補修費も合わせ、同じ比較期間で総費用を計算します。

公的資料も、固定周期ではなく検討の材料に

国土交通省のガイドラインには、一般的な周期として12~15年程度という説明があります。一方で、仕様・立地・劣化診断・技術革新などを考慮して周期を設定する考え方も示されています。一般的な数字を、その建物で工事を実施する根拠の代わりにしないことが大切です。

公的な目安や業界の慣例は、材料・技術の進歩を十分に計画へ反映できているのか。この問いを持ちながら、延伸の可能性と条件を検証します。18年周期の個別事例はありますが、国土交通省による全建物への一律推奨ではありません。どの年数なら必ず安全・安価になるとも断定できません。

管理組合から、説明を求めたいこと

参考資料

制度の対象や最新の取扱いは、各資料の発行元でご確認ください。企業の解説は公的な基準とは区別し、事業者や工法の推薦・斡旋は行いません。

  1. 国土交通省:長期修繕計画作成ガイドライン(PDF) ↗

    一般的周期、建物ごとの周期設定、調査・診断、計画見直しの考え方。

  2. 国土交通省:マンション管理適正化・再生推進事業の事例 ↗

    個別事例は、全建物への一律推奨とは異なります。

  3. 日本ペイント:期待耐用年数の説明 ↗

    メーカーによる用語・条件の説明。保証値や一般的な法的基準ではありません。

具体的な調査や工事の要否・方法は、建物の状態と最新の制度・基準を踏まえて専門家と確認してください。このページは個別の診断や施工指示ではありません。