技術・資料 / 外壁タイルの浮き調査
打診・赤外線・ドローンを、どう使い分けるか
大きな足場を組まずに調べる選択肢と、その限界。見えない範囲まで含めて考える。

写真で見えることと、浮きの調査は違う
モザイクタイルなどの外壁仕上げには、表面のひび割れや欠損だけでなく、下地との間の「浮き」が問題になることがあります。通常の写真で外観を確認することと、打診や赤外線で浮きの状態を調べることは、同じではありません。
打診は対象に直接触れて確認する方法、赤外線調査は表面の温度分布から状態を判定する方法です。地上からの撮影やドローンを使った撮影などがありますが、機材を飛ばすだけで建物の全面を確実に評価できるわけではありません。
赤外線が使える条件、補うべき場所
条件を確かめる
日射・天候、材料、建物形状、撮影の位置や角度を確認する。
打診と照合する
同一部位の打診結果と赤外線結果を照らし、検出状況を確認する。
別の方法で補う
検出が難しい部位を明示し、打診などを組み合わせる。
赤外線の適用は、日射、気温、風雨、表面状態やタイルの種類、反射、撮影角度・距離、見通しなどに左右されます。軒裏や隅部など、適さない箇所もあります。調査の条件と範囲を専門家が判断し、必要に応じてロープアクセス、ゴンドラ、高所作業車などによる打診で補完します。
足場を組まない調査の選択肢は、ドローンだけではありません。方法の名前よりも、どこを確認でき、どこに未確認が残るのかを把握することが大切です。
「おおむね10年」の対象を確かめる
建築基準法第12条の定期報告対象建築物では、外壁タイル等について、落下により歩行者等に危害を及ぼすおそれのある部分を、原則おおむね10年に一度、全面打診等で調査します。全マンションへ一律に同じ義務がかかるという意味ではありません。所在地・用途・規模による対象指定と、実施時期を確認します。
2022年の改正では、打診と同等以上の精度を有するドローン赤外線調査が方法として明確化されました。「ドローンを使えば自動的に同等」ではなく、適用条件と精度の確認が前提です。また、10年の全面調査だけで日常・定期的な確認を置き換えることはできません。
調査を依頼する前の、四つの問い
- この建物は、法定の定期報告と外壁調査の対象に該当するか。
- 打診と赤外線をどう照合し、必要な精度を確かめるか。
- 撮影・判定できない範囲を、どのように記録し補完するか。
- 結果は位置図・判定根拠・補修検討につながる形で残るか。
調査・診断会社の技術説明も、方法を理解する助けになります。ただし、企業ページの営業表現や個別事例を、そのまますべての建物の精度・費用・適用条件に当てはめないようにします。
参考資料
制度の対象や最新の取扱いは、各資料の発行元でご確認ください。企業の解説は公的な基準とは区別し、事業者や工法の推薦・斡旋は行いません。
- 国土交通省:外壁タイル等の調査 ↗
対象部分、調査方法と制度の説明。
- 国土交通省:定期報告制度 ↗
建築物の対象指定など。
- 国土交通省掲載:赤外線調査ガイドライン(PDF) ↗
適用条件、打診との照合、調査・判定方法。
- 国土交通省:改正の説明資料(PDF) ↗
ドローン赤外線の制度上の位置づけ。
- 株式会社ジャスト:外壁調査 ↗
調査・診断会社の技術説明。打診と赤外線の理解のための参考で、推薦やドローン実施の証明ではありません。
具体的な調査や工事の要否・方法は、建物の状態と最新の制度・基準を踏まえて専門家と確認してください。このページは個別の診断や施工指示ではありません。