越谷市マンション連合会
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大規模修繕で、
管理組合の利益を守る。

必要な工事を、適正な条件と品質で。
設計・工事監理の役割と、報酬の流れから考えます。

公表資料の確認日:2026年10月30日

01 技術力何を直すか、
根拠を示せる人を。

調査結果を設計図書にまとめ、工事の必要性と内容を説明できるか。

02 独立性誰から報酬を
受け取るのか。

管理組合の利益と、専門家自身の利益が食い違う仕組みになっていないか。

03 確認できる手続選んだ理由と、
工事の記録を残す。

見積比較から工事の完了まで、理事会が確認できるようにする。

公表資料で確認された事実

専門家に任せても、
競争が働いていないことがありました。

2026年9月28日、公正取引委員会は、関東地区のマンション大規模修繕工事で、設計コンサル業者と施工業者が受注予定者を決め、他社が指定された見積価格を提示するなどの受注調整を行っていたと認定し、排除措置命令等を行いました。[1]

また、工事を受注した施工業者から設計コンサル業者へ、工事請負契約金額の一定割合が支払われていた事実も確認されています。[2]

これは公表された事案についての事実です。業界全体や、個々のマンションで不正があったと一律に判断する根拠にはなりません。

理事会が判断するための解説

設計・施工管理・工事監理。
それぞれに役割があります。

修繕設計では、建物の状態から工事の範囲、材料、工法、施工上の細部を決め、図面や仕様書にまとめます。ここが曖昧だと、見積を比べる基準も、工事を確認する基準も曖昧になります。

設計・監理方式での基本的な役割分担
役割主に担う人何をするか
修繕設計設計者調査・診断を踏まえ、どこを、何で、どう直すかを設計図書に示す。
施工管理
「管理」
施工会社の
現場担当者
品質・工程・安全などを管理し、契約に沿った工事を実施する。
工事監理
「監理」
管理組合が
依頼した監理者
工事内容を設計図書と照らし合わせ、確認結果や是正事項を管理組合に報告する。

工事監理の基本は、工事と設計図書の照合・確認です。常時すべての作業を見張ることを意味するものではありません。契約時に、何を、いつ、どの方法で確認し、どう報告するかを具体的に決めます。[5]

発注方式によって、確認する立場はどう変わるか

設計・監理方式では、施工会社とは別の専門家に設計・工事監理を依頼し、設計と施工の役割を分けます。責任施工方式では、施工会社に調査・設計・施工をまとめて依頼するため、管理組合側で仕様・価格・施工結果をどう検証するかを、契約前に決めておくことが重要です。必要に応じて、施工会社から独立した専門家による確認を組み合わせる方法もあります。いずれの方式でも、担当者の技術力、利害関係、報告方法を確かめます。

防水工事の例:見えなくなる下地を、施工途中で確認する

使用材料だけでなく、既存下地の処理や端部の納まりまで設計で定め、施工会社が工程と品質を管理し、監理者が重要な工程を確認します。例えば、下地補修後、防水材で覆う前に、施工会社が自主検査を行い、監理者が契約で定めた方法で確認します。確認箇所と結果を写真や報告書に残し、不適合があれば是正後の再確認まで記録します。確認する工程や方法、確認結果を待って次の工程へ進む条件は、工法・施工条件と契約に応じてあらかじめ決めます。

「安いコンサル料」の先に、
誰が支払っているか。

利益相反とは、管理組合にとって有利な判断と、助言する側の利益が食い違う状態です。施工会社からの紹介料などで収益を得る場合、その会社を選ぶことが助言者の利益につながり、公平な比較を損なうおそれがあります。

公取委は、受注時の手数料の取決めに加え、特定業者に有利な情報提供や参加条件への働きかけが、自由な競争をゆがめるおそれを指摘しています。[2]

管理組合が業務に見合う報酬を支払い、当該工事に関係する施工会社等からの利益供与を受けない条件を契約に定めることが、独立性を支える方法の一つです。受領しない旨の申告だけで終わらせず、開示対象、確認資料、違反時の対応も決めておきます。

報酬の独立性と、設計・監理の技術力は、両方を確かめる必要があります。管理組合から報酬を受け取っているという説明だけで、公正さが保証されるわけではありません。

公募・相見積だけで、
安心しないために。

同じ工事を比べるための条件をつくる

共通の図面・仕様書・数量表と見積書式を用い、工事範囲、材料・工法、工期、除外項目などをそろえます。別の工法などの提案は共通条件の見積と分ければ、価格差と内容の差を確認しやすくなります。契約後に数量を精算する項目は、その単価と確認方法も決めます。

参加条件は、必要性を説明できるものにする

資本金や売上高、実績規模を過度に限定していないか、その理由を確認します。一方で、必要な許可、技術者、施工体制、安全・品質の確保まで省いてよいわけではありません。工事に見合う条件を設定し、競争の入口を不必要に狭めないことが大切です。

管理組合が原本と選定過程を確認する

応募と見積の提出先を管理組合側で管理し、理事会が提出原本と応募状況を直接確認できるようにします。質疑回答は参加各社に同じ内容を伝え、非公開の予算上限、参加業者名、他社の見積価格などが特定業者へ漏れないように扱います。

選定では価格に加え、工事内容、担当者、施工体制、保証等を比較し、選んだ理由を記録します。透明性とは、管理組合が検証できることです。競争中の他社情報を業者間で共有することとは区別します。

契約前に、8つの確認を。

以下は理事会で使う一般的な確認例です。資料と説明を確かめてからチェックしてください。チェック数は不正の有無を判定するものではありません。

0 / 8 項目を確認済み

質問と、確認する資料の例
理事会からの質問確認する資料の例確認
01担当者は修繕設計・工事監理を担えますか。担当者の経歴、成果物の例、業務体制
02報酬の支払元と、施工会社等との関係を説明できますか。報酬内訳、利害関係の開示、利益供与を禁じる契約条件
03工事の範囲と仕様に、調査に基づく理由がありますか。調査報告、図面・仕様書、工事項目の採否の理由
04応募条件は工事に見合い、過度に限定されていませんか。募集要項、条件の設定理由、応募の記録
05同じ条件の見積原本を、理事会が直接確認できますか。共通の見積条件、提出原本、比較表、質疑回答
06監理者は、いつ・何を・どう確認し、報告しますか。監理の業務範囲、確認計画、報告書の様式
07追加工事や数量変更を、誰がどう承認しますか。数量精算・変更の手続、単価、承認記録
08業者を選んだ理由と、完了後の記録を残せますか。選定記録、検査・是正記録、完成図書、保証書
未確認事項・次回までに確認すること

担当:______________________ 確認期限:______________________

会議の記録として残す場合は、確認表を印刷するか、印刷画面からPDFに保存してください。

説明や見積に疑問が残ったら。

依頼先と利害関係のない専門家や、公的な相談窓口に資料を見てもらう方法があります。国土交通省は「住まいるダイヤル」と「マンション管理センター」の相談窓口を案内しています。[3]

また、国交省は、談合があった場合の違約金を契約で定める取組を紹介しています。具体的な条項は、個別の契約に応じて弁護士等に相談して検討します。[4]

国土交通省:相談窓口・参考情報を見る ↗

出典と、参考動画

  1. 公正取引委員会:大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について ↗2026年9月28日。認定された受注調整の内容。
  2. 公正取引委員会・別添3:施工業者から設計コンサル業者に対して支払う手数料等について(PDF) ↗手数料等の支払、情報提供、参加条件への働きかけ。本文1〜2ページ。
  3. 国土交通省:マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口の周知等について ↗相談先と、発注の参考となる情報。
  4. 国土交通省:2026年9月28日付通知・別紙(PDF) ↗設計コンサルタントの中立性、適正な手続、談合違約金特約条項の紹介。PDF3・5ページ等。
  5. 国土交通省:工事監理制度について(PDF) ↗工事監理の用語と照合・確認の考え方。冊子19〜21ページ。新築を対象とするガイドラインの具体的確認項目を、改修工事に一律に適用する趣旨ではありません。